キッチンリトグラフ(アルミホイルリト)考察

先日、何処かの神来りて、託宣を下さる

そはキッチンリトグラフといふものなり

かしこみ かしこみ もうさく



その人が教えてくれた動画をユーチューブで見て驚いた。台所にあるもんで、なんとリトグラフが出来るちゅう。
http://www.youtube.com/watch?v=G2w0IFm7JOY
用意するもんは、アルミホイル、マルセイユ産のオリーブ石けん(でもそんなんないからオリーブオイルにしてみた)、コーラの三種の神器
まさかねえって半信半疑で同じようにやってみたら、いとも簡単に成功しちゃったよ。
アルミをプラ板に貼って、オリーブオイルで描画、次にコーラでアルミの全面を洗う、水で洗い流して、スポンジで湿らせ、インクのついたローラーを転がす、するとあら不思議油で書いた所はインクが乗り、それ意外はインクがまったく付かない。
マジかよって、久々に目からウロコが剥がれ落ちて、なんか意味不明な程の衝撃がニュートリノなみの速度で体を駆け巡った。
久しく錆び付いていた探究心のエンジンに火が入ったようだぜ。
何が出来るか考えてみるのもええかもね。

それにしても、なんでこんな事が出来るんだろう?

まっさらなアルミホイルは、きっとまだ酸化してないんだろうね。だから油で油酸化アルミニウムに

んで、書いてない部分はコーラの何らかの成分が酸化アルミニウムにしなきゃいけない、でコーラの成分を調べてみたら、どうやらクエン酸が入っている事が分かった。なるほどこれで酸化するわけかな。他にもレモンも入っているらしけどね。※後で聞いた所によると、炭酸によるものらしい。

ちゅうことかな?

考えた人はすごい!

教えたくれた、リトの神様ありがとね。







昨日は仕事が無かったので午前中が丸々空いたので、アルミホイルを使ったお手軽リトグラフをやってみる事にした。
http://www.youtube.com/watch?v=G2w0IFm7JOY
ユーチューブで見たやり方は石けんとコーラだったが、今回はほんちゃんのリトグラフ資材を使ってやってみた。

アルミホイルを水で濡らしたプラバンに指紋を付けず、かつシワにならないようにティッシュを使って慎重に貼付けて、リトグラフ用の解墨を水で解かして筆描きしてみる。
出来れば濃淡が出てくれればおもしろいと思ったので、そのように心掛ける。

描いた後は解墨を乾かす為と、油酸化を促進させる(まあなんちゃって化学です)為にドライヤーのヒート送風。水分が小人の小銭のように素早く消えて行く。

さて、次は描画以外の部分を油を弾く様に酸化アルミニウムにしなきゃいけんので、お風呂にゃバブ、中華にゃ胡麻油、リトグラフにゃSk液ってんで、スポンジに少量つけて描画部を壊さないようにポンポンと淑女のマキヤージュ的に優しく叩くように塗ります。でこれまたドライヤーでサハラのシロッコ風のように吹き付け乾燥させます。

さて、それをすぐに水を適度に含ませたスポンジで拭い取ります。この時描画部もさらさら崩れ取れていき、すわ失敗か!と驚くでしょうが、角度を変えてみると、しっかり水を弾いているのが分かりますから。まずはご安心めされい。

さて、版面を乾かさないように、水で潤いつつインクを付けたローラーをコロコロと転がすと、あら不思議、描いた所にインクが付いていきます。最初は薄くても何度も転がすうちに恋するあの子の町が夜になるように濃くなって行くでしょう。

それを文房堂のモンプチで刷りました。


おもしろいのが、シワがおもしろい効果を出している事。金箔職人のようにシワにならないように貼付ける事が出来なかったので、どうしてもそうにならざるえなかったんですが、それが何て言うか桃山的な豪放さを生んでいるような気がしませんか?

あと興味深いのが、その目の細やかさである。通常使用するアルミ板は表面を砂を用いて細かい隆起を付けいるのだが、刷った時にどうしてもそのツブツブ感が出てしまうのだ。
だがこのアルミホイルはまるでバターのように実に滑らかである。
俺はまだ石の版でやった事がないが、もしかしたらこんなテクスチャーではないだろうかと、固唾をのんで、この世の何処かにあるというまだ見ぬリトグラフ郷の事を想ったよ。

それにしてもこの異常なまでの手軽さは、学校教育の現場においてこそ、その真価を如何なく発揮するのではないかと思う。高価なアルミ板、かつ失敗の許されぬ複雑なリトグラフ行程において、ややもすれば怖じ気により筆も淀みがちなる所を、このアルミホイルリトグラフならば、失敗を恐れることもなく気軽に筆を進める事が出来るのではないだろうか。


ちなみにさっき思いついてダーマトグラフでやってみたら余裕で出来ました。
濃淡再現率たかし君です。







フランスから上陸して、じわじわと巷間に浸透しつつあるキッチンリトグラフ

アルミホイルとマルセイユ石鹸、とコーラをぶっかけるという、奇想天外、豪放磊落、天衣無縫、家内安全な技法について実践し、その手法の考察と実験を行なってみましょう。

上記の動画にあるように、ここではアルミホイルの裏のザラザラしているほうに、マルセイユ石鹸で描画してその上からコーラをかけ、インクが乗る親油性と親水性の面を作っているようである。

言うまでもなくマルセイユ石鹸の原料はオリーブオイルだから、これがアルミと反応して脂肪酸アルミニウムになって親油性に

コーラをかけた面はコーラの中に入っているおそらくクエン酸?と反応してクエン酸アルミニウム?になって親水性になるのかな?もしかしたら、コーラに入っている他の成分、たとえばアラビアゴムに似た何らかの多糖類が反応しているかもしれない。

流れとしてはこういう感じなのだろう。

だがもし、家にマルセイユ石鹸がなかったら出来ないのか?という疑問がある人もいるだろうが、答えは否でしょう。ようするに油もんだったら大概のものならなんでもOKなのである。
アルミホイルの油との反応の感度の良さは異常なほどであり、たとえば作業中にちょっと指先が触れようものなら経ちどころに指紋の形がインクを乗せた時に浮き出てくる。

つまりオリーブオイル、サラダ油、ごま油なんかでもいけるでしょう。
俺はマルセイユ石鹸なんてもちろん持ってないから、オリーブオイルでやってみて、もちりん出来ました。

油性の描画はいいとして、コーラをかける親水性面、つまり油を弾く面は他の代用品があるのだろうか?それもできれば家にあるものがいいなと考えて、色々と試してみた。

SK液、、、、リトグラフをやる人が使う、便利な液体、新日本造形のアイテム。内容成分は不明。もしろんアルミホイルでも問題なく使える。しかし普通の家庭にはないよね。

アラビアゴム液、,,アフリカのどっかに生えている豆科の植物の樹液。アラビン酸ゴム液とも言う。基本無害であるらしく、我々の身近の食品や製品の中に入っている。
水彩絵の具の基本成分はコレ。

クエン酸系、、、、レモン汁やコーラなんか

等等であろうか、取り合えず家の中で使えそうなものを試してみた。注インクには製版墨を使いました。やや硬いインクなので、本物のインクはもう少しきびしいかもしれないです。

ヤマト糊
○インクを弾いた
サイトを見たらタピオカから精製されたでんぷんを使用している。もしかしたらコレ自体が効いている可能性も否定できない。子供が使う可能性があるものだから、口に入れてもいい保存料が入っている。クエン酸かな?これが効いているのかも。

サンマルクカフェのシロップ
○インクを弾いた
使えた。粘りをアラビアゴムで出しているという情報があったので試してみた。最近はアラビアゴムを使わない製品が増えている事。これはどっちなんだろう。


レモン汁
◎インクを弾いた
だが強力すぎるのか、ダーマトグラフで描いた線にインクが乗りにくくなった。
薄めて使うくらいでいいかも。


液状のり アラビックヤマト
○インクを弾いた
主成分はポリビニルアルコールという親水性が非常に強い合成樹脂なんだってさ。
これ自体が効いているのかな?



木工用ボンド
×出来なかった
主成分 ポリ酢酸ビニル
出来るような気がしたんだけどなあ。酢酸は駄目なのか?

メンソレータム
×出来なかった
油分が入っているようで、真っ黒に

キッチンブリーチ
×出来なかった
これお行けそうな気がしたが、真っ黒に

ジョイ 
×出来なかった
界面活性剤のせいかな?


クエン酸水和物を水で薄めたもの
○インクを弾いた

片栗粉
○インクを弾いた
多糖類すげえ!


前々からやれねばならないと思ってはいたものの、その面倒さ故になかなか腰があがらなかった、エミリオンメトードで知ったアルミホイルを用いた大きい版の制作をやってみた。

最終目標は幅80センチ、縦120センチの大きさの版を刷る事だが、その前にクリアせねばならない幾つかの壁がある。

アルミホイルの幅は業務用のものでも30センチしかないので、何枚かを張り合わせなければならない事。

そうなると、ホイルを貼付ける支持体が必要になるが、その素材を何にし、また何を用いて貼付けるかという事。

また、それが高圧なプレスの往復に何度か堪えられる程の強度を有する事。

そして、今回は多色刷りであるので、恐ろしい程の枚数お用意しなければならい事もあり、出来るだけ低コスト、かつ高品質な版を自らの手で作りだすメソッドを考え出す事。


などなど、大まかに言えばこんな所であろう。いちおうここ数ヶ月、アルミホイルを使ってどう大きい版を作るかというのをボンヤリと考えていた事を実践してみた。

まず、支持体として用意したのは、普通の文房具店に打っている。B1サイズのおおきな白ボール紙にした。一枚200円と安いし、そこそこの強度もあるからだ。それ一枚ではさすがに大きすぎるので半分に切る。

アルミホイルと紙を貼付ける接着剤には、その量からしたら爆発的に安いドラッグストアで売ってる合成洗濯糊を使用した。もちろん価格だけに惹かれたのではない、この糊の粘性が低い事も理由の一つだ。
それを刷毛でボール紙のザラザラした灰色のほうに塗って、ホイルをそっと置いて紙をあてがいながらバレンで気泡が出来ないようにしゅっしゅと貼っていく。(これがなかなかの手間と運動量)
今回のテスト版は幅50センチ以上あるので、幅30センチのホイルを二列に張り合わせる必要がある。まず一枚を張った後に、その横にまた一枚を貼る。だがここで糊の思わぬ逆襲が。バレンで押し出された糊がアルミホイルの端から流出。まっさらなアルミの表面にべっとりと付着する惨事に。まだこの時点では、確認はしていなかったけど。こういう糊的なやつは大体アラビアゴムみたいにアルミと結びついて油を弾く作用をするんだよなと、嫌な予感。
まあテストだし仕方がないぜと気を取り直し、何とか張り付け完了。

そして早速描画。アルホイルはツルツルしているので、俺が通常使用しているホルバインの油性色鉛筆では滑って書く事が出来ないので、ダーマトを使用する。これでも時々滑ってしまうが、油分は間違いなく付着しているようなので、まあ大丈夫だろう。

さらに薄めた解墨を刷毛とリトクレヨンを使い、Sk液で封じてフィニッシュ。

Sk液が乾いた頃に水をつけたスポンジで洗い落として製版。デカイからエゲンラッカーとチンクタールを大量に使うのが新鮮にショック。デカイの久々やもんなー。

それで1日放置して

今日刷って見た。黒に黄色を混ぜた何とも汚い色をローラーで版に付けていく。この時気をつけないといけないのが、ローラーを転がす方向。アルミホイルの境目はアルミどおしが重なりあっているのだ、この時上に重なっているアルミの毛並み?に逆らうほうにローラーを転がすとアルミがべろりとインクの粘性に負けて剥がれてしまう事があるからだ。まったく面倒クセーですが、貧乏なんだから仕方がないよね。

まあなんとかインクを乗せて、自家製ハンディーリトプレス機零号に版と紙を挟み込んで刷ろうとしたのだが、版とスキージが引っかかっていてうまく動かなかった所を無理にやりに引っ張ったので折りからに水分を吸って柔らかくなっておた白ボール紙がぐしゃりと破れるというハプニングが。仕方がないので、厚めの定規を当てて刃物を磨ぐようにがんばって刷る。

んでこんな感じに。

やはり圧が足りないからマダラなテイストに。まあ定規やからな仕方なし。

それにアルミの境目がきっちり出ている。隙間に微細なインクが入り込んで、圧をかけた時ににゅっと押し出されてくるのだろうか?これが思いのほかクッキリでているのが気になる。

まあ久々のデカイ版はやはり壮快だなあ。デカイ分インクの匂いがきつくて嫌なのがねー。

アルミホイルで多色刷りやった事なかったんでやってみた。
赤青黄と黒と紙の白を混ぜ合わせる事により全ての色が理論上は作れる筈。。。だが。

白ボール紙にアルミホイルを洗濯糊で気泡やシワがなるべくでない様に慎重に貼ったものを4枚用意し、今回は実験ということもあり、元の絵を版の上においてボールペンで強く輪郭をなぞり、版をへこませる荒技で転写し、濃淡がなるべく出るように濃く薄くダーマトと解墨で描画。

SK液塗布。

すぐに製版。今回はチンクタールのみ使用。
(そう言えば、世界堂に行ったら新日本造形平版用ラッカーの製造中止だとか。どないせいっちゅうじゃ。自分で調合しろというのか)

刷り 使用した絵の具はサクラ版画絵具油性
紙を置いた上にビニールを置き水で少し濡らして定規をあてて擦った。

黄色 ベースは黄色である事が多い。でもちょっと乗せ過ぎた。





黒 主版 

まあ今回はかなりテキトウにやったんで濃淡があまり出ないのっぺり版だった。

出来は案の定うーむなものに。