版の修復考(消したり、描いたり)

下記に書いてあることは、過去の無知なる自分である。

クロムミョウバン溶液を使えば何度でも版に加筆する事が出来ます。
やや線が太くなってしまう傾向があるけど、とにかく何度でもやり直しが出来るので、ちょっと失敗したくらいで版を廃棄する必要はありません。ちょっとお高いですけどね。






リトグラフの版(ここではアルミ板の事)は一度描いてしまう、もしくはSK液、あたはアラビアゴム液の反応をさせてしまうと、そこにまた新たな処置を施そうとしてもなかなかにうまくいかない。
しかし完全とは言えないかもしれないが、少しはゴネ通す事も可能ではある。

削るというのも一つの手段ではあるが、しかしこれがやってみると風呂のタイルの目地のカビよろしく、なかなかに深く科学反応が入り込んでいて、中々に払拭出来ない。
そうこうしているうちに版が壊れてしまったりする。

そこで俺が考えた(じつは俺以外は皆知ってるかもしれんけど)のは、リトグラフに於いてその場を浄化する聖水H液を使う事である。

リトグラフの油、ゴム液の科学反応はいわば椅子取りゲームにようなもので、最初にそこに座ったものがずっとそこにいる権利を獲得する。

だがこの、正体不明の液体H液さんを使えば一時的に彼らをいすから立ち退かせることが可能である。もちろん、インクが付いた上からやってもインクがシールドの変わりになって版面に届かねば意味がないので、まずベンジンなりホワイトガソリンなどで十分に油分を拭い去り、その上で該当か箇所に塗るといいでしょう。

●消す!

のは割合簡単で、おれは最終兵器として100%H液+100%SK液の交合液(SKH液)を油分を良く拭いた場所に筆で塗り付ける。H液による中立化とSK液による親水化を同時に行なう神速技であり、これをくらうと大抵の描画部は苦もなく沈黙する。ぐうう

●描く!

これは思いのほか大変、というより繊細の表現の方はほぼ無理なような気がする....

フラットなベタ部やちょっとした粗い筆線などは何とか可能ではある。

まず版面にSK液やアラビアゴム液が残っていないように良く水で洗い流す。もし僅かでも残存勢力が残っていたら、H液を塗った瞬間にゲリラ攻撃を再開するからである。
んで、よく洗ったのちに版をドライヤー等でよく乾かし、H液が散って該当部以外を破壊しないようにする。そして描き足したい所にH液100%だけを塗る。H液を乾かしたのちそこに解墨の濃いのやチンクタールを上から塗る。するとどうにかこうにか青色吐息でなんとか乗ってくれるかもしれない.....というのもまだ俺もこのへんは研究不足ですのでご容赦を。

弄るより書き直したほうが早いリトグラフ という諺がある通り、書き直すという早期の決断がコストと時間の短縮に繋がる場合も多々あるので、それは各員の判断に委ねます。


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